やけどしたときはどうしたらいいの?
何科を受診したらいいの?
あとが残らないためにはどうしたらいいの?
こういった疑問にお答えします!
形成外科専門医で普段熱傷診療を行っているわたくし(ita_run)が解説していきます。
Q&Aでは、みなさんの疑問にお答えしているのでぜひチェックしてみてくださいね。
やけどした時の対処法を説明します
具体的に最低限自宅で出来ること・すべきこと!
- シャワー(流水)で冷やすこと
- 衣服の上からやけどした場合は、着ている衣服をすぐに脱ぐこと
病院を受診するまで冷やしていてOKです。
ただし、ふやけるまではしないように。
氷や氷水による凍傷や低体温など極端なことには注意しましょう。
やってはいけないことや注意すべきこと!
・自己判断で市販の塗り薬を使用することは要注意 ・特にキズパワーパッドやラップ療法は使い方を誤ると大変なことになります ・水疱は無理に破らないこと ・消毒薬での消毒は不要です
※これらの理由や対処法は目次Q&A(みなさんの疑問にお答えします)で解説しています。
ラップ療法の危険性に関しては、以下に関連記事を載せておきます。
まずは「形成外科」を受診することをオススメします
- やけどの程度によらず(発赤、水ぶくれ、傷になったなど)、病院を受診することをオススメします。
自己判断や自己処置によって、感染などを起こしたりして傷が深くなる可能性があるからです。不適切な処置で傷を乾燥させても、上皮化(治癒)は遷延します。
- 最初に受診する科としては「形成外科」で良いと思います。
形成外科では植皮術やデブリドマンなど外科的な対応も可能だからです。つまり、初診時から必要であれば手術まで一連を通して対処が可能です。
皮膚科の受診でもよいと思いますが、外科的な処置をされない先生もおられる印象です。
「やけどなんかほっといとも治る。」
「病院になんて行かなくてもいいじゃん。」
確かに軽いものならそうかもしれませんが、感染や乾燥など不適切な処置で、治るのに時間がかかった傷は炎症後色素沈着(PIH)や肥厚性瘢痕やケロイドのリスクが高まります。
病院へいけばこれらの後遺症の治療や、そもそも後遺症を生じないように傷の後療法も指導してくれますよ。
つまり、
・やけどの程度によらず(発赤、水ぶくれ、傷になったなど)、病院を受診するこ とをオススメします。 ・最初に受診する科としては「形成外科」で良いと思います。
あとが残らないためには「保湿」と「遮光」が大事です
大前提として早く傷を治すことが重要です。
時間が経って治った傷は炎症後色素沈着(PIH)が長引く原因となったり、肥厚性瘢痕やケロイドのリスクが上がります。
ですので、傷あとを残したくないなら大前提として病院を受診することが大事です。
その上で、自宅でも出来る後療法としては「保湿」と「遮光」が大事になります。
これらに関しては以前の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
Q&A(みなさんの疑問にお答えします)
Q. 水疱は破っていいの? A. 水疱の内容液は創傷治癒を促進させたり、傷の乾燥を防ぐbiological dresssingとして有用です。基本的には感染を誘起するため、水疱を自ら破ることはよくありません。しかし、緊満している場合や感染が疑われる場合は水疱を破り開放創とする場合もあります。その場合、水疱蓋は温存しますが感染の原因となる場合は水疱蓋も除去します。
Q. 水疱が破れた場合はどうしたらいいの? A. 無理に除去せずに、しっかり内腔を流水で洗浄することが大事です。感染の原因となりえそうな場合は水疱蓋は除去しますが、自分ではしない方がよいと思います。
Q. 市販のオロナイン軟膏は? A. 傷の洗浄は基本的に流水と市販の泡で十分です。オロナイン軟膏には殺菌・消毒薬の成分が含まれていますが、正常の細胞まで障害するためにいわゆる消毒は不要です。むしろ、傷を悪化させることもあるため注意が必要です。軽いやけどや擦り傷程度には使用しても問題ないでしょうが、使用上の注意をしっかり守りましょう。
Q. 市販のステロイド軟膏は? A. ステロイド外用薬は発赤浮腫の抑制、疼痛の軽減に優れた効果があり、浅い熱傷(Ⅰ度熱傷:発赤が主体)では有用です。しかし、創傷治癒の遷延作用や上皮化抑制作用も有することから、その使用期間は注意が必要である。
Q. キズパワーパッドは? A. 創傷被覆剤は適度な湿潤環境を維持し、創傷治癒に良好な環境をもたらします。包帯交換回数や包帯交換に伴う疼痛をへらすメリットもあります。しかし、使い方を誤ると細菌を培養することになり、感染を起こします。感染が起きれば傷は容易に深くなります。個人的にはあまり使用はオススメしませんが、使う場合(感染が起きていないことが大前提です!)は1日に1回交換するようにしたり、交換の際は傷をきれいに洗うことを徹底しましょう。
Q. 洗浄はなにでしますか? A. 生理食塩水や水道水による洗浄で傷の清浄化は十分です。いわゆる消毒液の使用は正常の細胞を障害することになるため、汚染が高度など特殊な場合を除いて消毒は不要です。
まとめ
以上、やけどしたときの対処法やみなさんの疑問に最低限ですが、お答えしました!
今回の記事もリライトして内容の濃いものにしていきたいので、ご質問やご相談があれば気
軽に声をかけてください。
熱傷の処置を誤ると傷が深くなり、傷跡が長引いたり残ったりするリスクが上がります。
最低限の知識は必要ですが、基本的には病院(形成外科)を受診することをオススメします。
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