形成外科ってそもそもなに?
形成外科はどんなことしているの?
いつ形成外科を受診したらいいの?
このような疑問に答えていきます。
【本記事はこのような方におすすめ】
・ 形成外科について知りたい方
・ 形成外科がどんなことをしているのか知りたい方
・ どんな時に形成外科を受診すればよいか知りたい方
形成外科専門医として普段から診療を行なっている私が解説していきます。
私がどんな人か気になる方はこちらのプロフィール記事を参考にしてみてください。それでは宜しくお願いします。
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形成外科はこんな科です
形成外科を簡単にイメージすると上記のような感じです。
以下にそのイメージをもう少し詳しく説明します。
命を助けるだけが医療??
例えば 全身の熱傷や大怪我で命は助かったものの、機能的な問題で日常生活に不便がある、整容的な問題で人前に出ることが億劫である、心の問題で引きこもりになってしまう。
このような状況から救うのも医療ではないでしょうか。
命の次に大事な機能面や整容面、精神面の問題にも真剣に取り組むべきです。
つまり、生活の質(quality of life:QOL)を特に意識したのが形成外科です。
・ いかに正常に近い機能や見た目を再建するか
・ いかに傷をきれいに治すか
一度マイナスになったものをいかにゼロ(正常)近づけるか
このベクトルが形成外科と思ってもらえればよいと思います。
形成外科はこんなことしています
形成外科は主に体表の外科(頭の先からつま先まで)で頭蓋内(脳神経外科)、眼(眼科)、耳・鼻(耳鼻科)、乳房(乳腺外科)、胸腔内(心臓血管外科、呼吸器外科)、腹腔内(消化器外科)、骨、脊髄(整形外科)以外は主に扱っています。
ここでややこしいのが再建するという意味では上記領域にも関わるということです。
再建とは失ったものを元に戻すというイメージです。
その場合は基本的には他科から依頼されて形成外科医が登場します。
イメージとしては
腫瘍切除=他科 再建=形成外科
つまり、再建に関しては他科から形成外科に依頼があるのでこの場合は患者さんが直接形成外科を受診することは基本的にはあまりないと思います。
ただし、形成外科の存在を知っていると主治医に相談したり、主治医からの話がスムーズに聞けるのでよいかもしれません。
以下に形成外科医が取り扱う疾患をおおまかですが示します。
【体表】
○ 皮膚や軟部の腫瘍 よくあるパターン 皮膚科→形成外科に紹介
○ 急性創傷(外傷、熱傷も) 一般外科や整形外科受診→形成外科に紹介
○ 慢性創傷(褥瘡、足潰瘍、放射線潰瘍、胸骨骨髄炎・縦隔炎など) 内科など→形成外科に紹介
○ 傷痕(ケガの痕や手術の痕) 主に外科系→形成外科に紹介
○ 母斑や色素性疾患(ほくろ、太田母斑、扁平母斑、蒙古斑など) 皮膚科や小児科→形成外科に紹介
○ 血管奇形や血管腫(乳児血管腫、いわゆるいちご状血管腫) 外科系や小児科→形成外科に紹介
【顔面】
○ 顔面骨骨折(体幹の骨折は整形外科、咬合に関する上顎骨や下顎骨の骨折は歯科口腔外科医、眼窩壁骨折は眼科医、鼻骨骨折は耳鼻咽喉科が行うこともある)
よくあるパターン 一般外科や整形外科→形成外科に紹介
○ 眼瞼下垂症(生まれつきのものも含む)
他には、睫毛内反症、眼瞼内反症、眼瞼外反症、内眼角形成など眼瞼の形態異常のオペもします
眼科→形成外科に紹介
○ 顔面神経麻痺
(顔面神経の再建、形成外科はあくまで手術がメインなので手術が必要なものに限る)
*神経再建以外にも顔面神経麻痺に伴う眉毛下垂や兎眼、眼瞼外反、口角下垂などのオペもします
耳鼻咽喉科→オペが必要なものは形成外科に紹介
先天的なものとして
○ 唇裂・口蓋裂や耳介の先天異常(小耳症や埋没耳、立ち耳、折れ耳、耳瘻孔、副耳など)
小児科→形成外科に紹介
○ 顔面のしみに対するレーザー治療も行います
【体幹・四肢】
○ 腋臭症
皮膚科での保存的加療や美容皮膚科でのダウンタイムの少ない治療もあります。形成外科では主に手術を行っています。
皮膚科→オペが必要なものは形成外科に紹介
○ 四肢先天異常(多指症や合指症など)
小児科→形成外科に紹介
○ 巻き爪や陥入爪
皮膚科→形成外科に紹介
○ 静脈瘤やリンパ管浮腫
【再建】
外傷や腫瘍切除など後天的な理由で組織が欠損が生じた場合
*形成外科は専門科に依頼されて登場します。主科が腫瘍切除などで組織欠損が生じた場合に形成外科に依頼がきて、再建を行います。
○ 頭蓋や頭蓋底の再建
○ 舌癌や口腔内粘膜切除後の再建
○ 食道再建
○ 上顎や下顎の再建(骨などの硬性再建も行います)
○ 乳房再建
○ 外傷や腫瘍切除による四肢・体幹の組織欠損の再建
血管や神経の再建もします。
以上は、形成外科以外の科(例えば眼瞼下垂のオペを眼科医が行う、乳房再建をそのまま乳腺外科医が行う、組織欠損に対する再建を整形外科医が行うなど)が行う場合も多々ありますので、施設やDrの技量によって違います。
その理由として形成外科は歴史が浅いことが挙げられます。
形成外科医が誕生する前は他の診療科が上記を行っていました。
その領域を形成外科の特色を生かして(特に整容面や機能面を重視する)交代してきたようなイメージです。
実際に各病院での形成外科の立ち上げにもともと皮膚科や耳鼻咽喉科であった先生が関与しているケースも多いです。
こんな時に形成外科を受診してみてはいかがですか?
形成外科は依頼があって登場する場面も多いです。
縁の下の力持ちというイメージでしょうか。
直接形成外科を受診する場合のイメージは
とりあえず傷は形成外科!
他には整容面や機能面で困ったことがあればとりあえず形成外科に相談くらいでしょうか。
あとは他科からの紹介で形成外科医が登場します。
総合病院であれば受付で悩んでいることを相談すればある程度形成外科へ誘導してもらえます。
しかし、受付の方のみならず他科のドクターでさえも形成外科医があまりなにをしているかわかっておられない場合もあるので悩みどころです。
まとめ
前述したように形成外科の誕生の歴史上、まだまだ認知度が低いのは仕方ないのかもしれません。
今後も当ブログで少しでも多くの方に形成外科の存在を知ってもらえるように記事を更新していきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
その他質問や相談などがあればお気軽にブログの問い合わせやtwitterまでご連絡いただければお答えさせていただきます。
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