保湿はどうして大事なの?
なにを選んでどのように使ったらいいの??
本記事ではこのような疑問に答えていくよ!
【本記事はこういう人にオススメ】
・保湿がなんで重要なのかを知りたい
・具体的に保湿剤の選び方や使い方を知りたい
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保湿の重要性を解説します
主張:保湿は健康な皮膚を維持するために重要である
皮膚(角層)は保湿機能とバリア機能をもっています。
○ 保湿機能・・・体内から体外への水分喪失を防ぐ
○ バリア機能・・・外界からの刺激物質や病原体などの侵入を防ぐ
成人における皮膚面積は1.6cm2といわれ、重量が体重の約16%を占める人体で最大の臓器と言われています。
角層は角層細胞が15~20層程度に積み重なってできており、その構造はレンガ(角層細胞)とモルタル(角層細胞間脂質)に例えられます。
理由①:バリア機能を高めて皮膚感染症を防ぐ
角層の機能が破綻した状態(乾燥皮膚)では、角質表層の水分量は低下し、柔軟性低下による皮膚の亀裂や、神経端末の伸長がかゆみい過敏状態をつくり、掻爬による二次的な皮膚障害も引き起こします。
細菌や真菌、ウイルスなどの皮膚感染症が重症化しやすくなります。
理由②:経皮感作を防ぐ
食物やダニなどの抗原の侵入により食物アレルギーやアトピー性皮膚炎・気管支喘息・アレルギー性鼻炎の原因となります(感作:かんさ)。
新生児・乳幼児期における早期のスキンケアの介入がアトピー性皮膚炎の発症を抑える可能性や、抗原の皮膚からの侵入を抑えることで食物アレルギーの半減が報告されています。
つまり、早期より皮膚のスキンケアにより角層のバリアを健全に保つことや早期より抗原食品を与えることでアトピー性皮膚炎や食物アレルギーを低減できる可能性があります。
理由③:紫外線防御につながる
そもそも紫外線暴露後にはドライスキンは進行します。
そして角層のバリア機能が低下していると紫外線感受性が高いこと(炎症が起こりやすい)が報告されています。
保湿によりバリア機能を高めておくと、紫外線による皮膚ダメージが受けにくくなります。
具体例
特に新生児〜乳幼児期と高齢者では皮膚のバリア機能が未熟・低下していくことが知られています。
また、皮脂の分泌も低下・減少することで皮膚は乾燥しやすくなります。
乳児では生後2~3ヶ月を過ぎたころから、高齢者では特に女性が早くから皮脂分泌は減少します。
アトピー性皮膚炎の素因がある人は生涯を通じて皮膚の機能が脆弱です。
石鹸で洗った後は皮脂も流されるため、入浴後は保湿剤を塗って皮膚のバリア機能を補強する必要があります。
結論:保湿は健康な皮膚を維持するために重要である
一部例外を以下に列挙します
● 過度の湿潤は皮膚のバリア機能を低下させます(例:おむつ皮膚炎)
● 塗る量は製品ごとに適量があると思いますが、塗る回数(1日1回よりも1日2回)も意識した方がよいかもしれません
● まずは1~2週間頑張って1日2回の保湿を意識して皮膚のバリア機能を高めれば、それ以降は1日1回の保湿でもよいと考えます
● 加齢皮膚や目元・口元、また冬季などの乾燥しやすい状況では塗る量や塗る回数の調整が必要です
保湿剤の選び方や使い方を解説します
エモリエント(疎水性)とモイスチャライザー(親水性)
保湿剤は作用機序からエモリエント(疎水性)とモイスチャライザー(親水性)に分類されます。
エモリエント(疎水性)・・・油膜を形成し、水分を保持します
代表・・・白色ワセリン(油脂性基剤)
製剤成分・・・ワセリン、パラフィン、ワックス、油脂、脂肪酸、スクワラン、コレステロールなど
生体成分・・・皮脂、各質細胞間脂質
モイスチャライザー(親水性)・・・保湿成分を含みます。クリーム剤が多く(親水クリームは水中油型O/W型基剤、油性クリームは油中水型W/O型基剤)、製剤中に水と油を含むため主薬の溶解性に優れています
代表・・・ヒルドイドソフト軟膏(W/O型基剤)、ヒルドイドクリーム・ローション(O/W型基剤)、ヒルドイドフォーム(水性)
製剤成分・・・アミノ酸、乳酸、グリセリン、尿素、ヘパリン類似物質、コラーゲン、セラミド
生体成分・・・天然保湿因子
剤形による違い
軟膏・・・被覆による保湿が期待できる反面、展延性が低いことや、べたつくことがデメリット
クリーム・・・軟膏よりも展延性が高く、べたつきにくい、吸収が優れるが、軟膏より被覆が劣る(特に水中油型)
ローション・・・高い展延性があり、有毛部への塗布可能で、化粧への影響が少ないが、被覆作用がない
フォーム・・・高い展延性で、速乾性(べたつかない、さっぱりとした使用感)があり、化粧への影響が少なく、吸収に優れるが、被覆作用がない
季節による使い分け
夏場はベタつきが少なく使用感の良いフォームやローションが好まれやすい。
冬場はしっとりしたいので軟膏やクリームが好まれます。
時間帯による使い分け
朝は素早く塗りたいことや衣服につきたくないため、フォームやローションが好まれ、特にクリームでは水性クリームである水中油型(O/W型)基剤が選ばれやすいです。
夜であれば被覆性のよい軟膏やクリームが好まれます。
部位による使い分け
広範囲に塗る場合は展延性が高い(伸びのよい)フォームやローションが好まれます。
被覆性を求める手などの場合は軟膏やクリームが好まれます。
衣服につきたくない場合は(特に首周りなど)、油性クリーム(油中水型,W/O型)よりも水性クリーム(水中油型,O/W型)がよいでしょう。
具体例
私が自分の子供に実践している保湿方法を以下に示します。
○ 撥水効果を期待できるため、陰部〜殿部はワセリンで保湿しています。
○ 顔は皮脂が多い部分なので乳液(ローション)を使用しています。
○ 動きが激しい時期は、手早く塗れて、伸びがよく、塗り心地がよいフォーム剤を使用しています。
まとめ
使用感や塗り心地も重視して、アドヒアランスを高めることが重要です。
つまり、継続できなければ意味がないということです。
そのためには、使用者の好み(ライフスタイルや嗜好)が大切です。
結局は全ての剤型に触れて実感することが重要と判断します。
剤形による保湿効果には多少の差はあるかもしれませんが、適切な量を適切な回数塗ることや継続することの方が重要と考えます。
こちらの記事では保湿のみでなく洗浄や日焼け止めなどのスキンケア全般に関して書いていますので興味のある方は是非ご覧ください。
最後まで読んでいただき誠に有難うございました。
その他質問や相談などがあればお気軽にブログの問い合わせやtwitterまで連絡いただければお答えさせていただきます。
引用文献:
- 友木依里子 他:スキンケア化粧品の塗布量が皮膚状態に及ぼす影響,Aesthetic Dermatology Vol.30:271~280,2020
- 池邊友佳子 他:皮膚保湿状態と物質の経皮吸収効果に関する研究,Aesthetic Dermatology Vol.25:427~433.2015
- 平尾哲二:保湿剤,BEAUTY #8 Vol.2,No.7:21~29.2019
- https://www.maruho.co.jp
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