ペットに噛まれたらまずはどうしたらいいの?
病院には行くべきなの?
何科を受診したらいいんだろう?
このような疑問に答えていきます。
【本記事はこのような方におすすめ】
・ペットに噛まれた場合にまず自宅でどうすればいいか知りたい方
・ 病院へ行くべきかどうか悩んでいる方
・病院へ行きたいが何科を受診したらよいかわからない方
形成外科専門医として普段から傷(創傷)の診療を行なっている私が解説していきます。
私がどんな人か気になる方はこちらのプロフィール記事を参考にしてみてください。それでは宜しくお願いします。
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ペットに噛まれた場合にまずすべきことを解説します
ペットに噛まれた場合のみならず、全ての傷にいえることは
”まずは水道水で十分に傷を洗おう”です。
感染の予防に有効であることは、抗生剤ではありません!
エビデンスがあるのでは、受傷早期(ケガをしたらすぐに)の十分な洗浄です。
また、よくある勘違いとしては、傷に消毒液を使ってしまうことです。
消毒液は正常の細胞をも障害してしまい、創傷治癒遷延(傷の治りが悪くなる)に繋がる恐れがあります。
ですので、消毒液は使わないようにしましょう。
石鹸などによる泡洗浄が推奨されます。自宅にあるもので十分です。
注意:傷の程度によっては深部に細菌や汚染組織を押し込んでしまうリスクや汚染組織の残存が懸念されるため、その後は病院を必ず受診して追加処置を受けましょう。
病院を受診するメリット
基本的には表層のみの傷など、軽症の場合を除いてすべての場合病院を受診することを勧めます。
以下にその理由を列挙します。
【感染のリスクがあるため】
・牙が刺さった場合は見た目によらず傷が深い。
→ 傷の入口は小さいので皮膚はすぐに塞がるが、傷は深いため皮下に膿が溜まるリスクがある。
・動物の口腔内には様々な細菌が潜んでいる。
・初期対応が不十分で時間が経った傷は感染のリスクが高まる。
【早期受診によっては縫合が可能な場合もあるため】
基本的には動物咬傷は開放療法(縫合せずに軟膏で保存的に治療する)が望ましいですが、
感染のリスクが低い場合には整容面(特に顔)を考慮して、傷を縫合する場合もあります。
感染のリスクが低い場合としては
・受傷してから経過した時間が短い
・顔や頭などの血流のよい部位である
・傷が複雑ではない
などが挙げられます。
【破傷風のリスク】
国内では年間100例程度の報告があり、死亡率は10%~50%と高いため予防が重要になります。
破傷風の発症リスクが高い場合
・1968年以前生まれの方(破傷風トキソイドが定期接種化されていなかったため)
・傷の程度が高度な場合(汚染がひどい、皮下や筋・骨に達するなど)
・傷がひどくない場合でも最終接種から10年以上経過している場合(およそ20歳以降では破傷風に対する抗体が低下しているため)
これらの場合は破傷風予防の治療が必要になる場合があります。
【狂犬病のリスク】
国内では1956~1957年の報告を最後に発生がないため、国内で飼育されている動物咬傷では狂犬病の対応は不要と思われます。
形成外科を受診してみよう
夜間や休日の場合は一般外科や救急受診をして適切な初期対応を受けましょう(傷の洗浄やデブリドマン、抗生剤処方など)。
その後は形成外科を受診してみてはいかがでしょうか。
理由その1. 普段から創傷をよく診ており創傷の専門医であるため
理由その2. 整容面への配慮を特に意識している科であり、傷が治癒した後も傷痕のケア(後療法)をかかさない
→ 傷痕のケア(後療法)によって目立つ傷跡を防げます。傷跡のケアは必要不可欠な治療です。
理由その3. 目立った傷跡となった場合も、傷跡の修正手術を行なっている
まとめ
1. ケガをしたらまずは水道水で十分に傷を洗いましょう。
2. 消毒液は使わないようにしましょう。
3. 傷の程度にも依りますが、適切な処置を受けるために病院受診を勧めます。
4. 傷の専門である形成外科を受診しよう。
5. 傷は治ったら終わりではありません。傷痕のケアも重要です。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
その他質問や相談などがあればお気軽にブログの問い合わせやtwitterまでご連絡いただければお答えさせていただきます。
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