【解説】シミの種類や治療法について

美容皮膚科
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はじめまして。
形成外科医/美容皮膚科医のDr.○○○です。
日本形成外科学会 専門医
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日本褥瘡学会 会員
日本フットケア・足病医学会 会員
日本美容皮膚科学会 会員

(注)プロフィール画像:『日本形成外科学会・日本創傷外科学会マスコットキャラクター「なおるん」』 なおるんは「キズを治す妖精」です。
今話題の谷口亮氏のデザインです。

Aくん
Aくん

シミにはどんな種類があるの?

Bさん
Bさん

シミにはどんな治療法があるの?

Cくん
Cくん

自分でできるシミ予防・対策が知りたい


なおるん
なおるん

本記事ではこのような疑問に答えていくよ!

【本記事はこういう人にオススメ】

・シミの種類や治療法を総論的に知りたい

・それぞれのシミの特徴を知りたい

Dr.いたるん
Dr.いたるん

それでは宜しくお願い致します

シミの種類を解説します

シミとは皮膚の色素の局所的な増量で、シミの原因色素はメラニンです。

メラニンの量が多いと濃褐色であり、量が少ないと淡褐色を示します。

また、表皮に存在するか真皮に存在するかでも色調が変わってきます。

表皮にメラニンが分布している場合は明るい褐色で、

真皮に分布している場合はくすんだ色、青色を呈します。


シミをおおまかに分類すると、

ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)

SK(老人性色素斑、脂漏性角化症)

そばかす(雀卵斑)

肝斑

・PIH(炎症後色素沈着)

この他にアザ(太田母斑や扁平母斑など)もありますが、こちらは別の記事で紹介します。

ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)

図:ADMの臨床像 ①④⑤:びまん性 ②③⑥:小斑性

多くは20歳以上に初発する顔面の色素斑

多くは左右対称性

ADMは有毛部にまたがることが多い

色調は灰色〜濃褐色を帯びて、ややくすんでみえる(真皮性病変)

組織像:真皮メラノサイトを認める

※鑑別診断として太田母斑が挙げられるが、いずれも治療はQスイッチレーザーである

太田母斑は

①発症が15歳未満が多い

②上下眼瞼の病変は内眼角部に及ぶ

③眼球メラノーシス、口蓋メラノーシスがみられることがある

SK(老人性色素斑、脂漏性角化症)

図:SK(老人性色素斑、脂漏性角化症) 形は不定形、大きさは不同、顔の側面に多い

シミの中で最もありふれたもの

老人性色素斑(薄い病変、平坦)が進行して脂漏性角化症(濃い、隆起)と考えられている

顔の正面より側面に発生することが多い

露出部に好発する

色調はやや鮮やかな黄褐色(表皮性病変)で、大きさは不同で形は不定形

組織像:表皮でのメラニンの増多

そばかす(雀卵斑)

図:そばかす(雀卵斑) 分布や大きさは比較的均一、鮮やかな褐色、顔の中央優位で左右対称性

その本質は体質性色素失調症

そのため、再発率が高い

→ 治療後のケア(日焼け止めなど)が非常に重要となってくる

学童期に発症し数mm大の褐色斑が散在する

比較的小さい類円型の黄褐色斑

好発部位は両頬・下眼瞼・鼻根部

女性に多い 色白の乾燥気味の肌質 家族内発生

女性ホルモンとの関係が示唆される(思春期に目立つ、中高年では目立たない、妊娠時に増悪)

組織像:表皮メラノサイトの活動亢進による表皮メラノサイトの増多

肝斑

図:肝斑 やや赤みを帯びた黄褐色 びまん性(連続)の分布をとる

以下に起因する慢性過刺激性炎症後色素沈着症と表現する

こすりすぎ」によるバリア破壊過刺激そのものが疾患の本質であるので、

治療はそれを解消することに他ならない

最善の治療は、このバリア破壊を治すこと

女性に多く化粧をする年代に一致する(20~40歳が多い)

褐色でびまん性の色素斑 境界不鮮明な不定形

下床に骨のある頬突出部や眼窩骨縁、前額部などが好発部位(下床の骨が突出している部位にできやすい)

下眼瞼や鼻翼部、こめかみの生え際などの有毛部には現れない

妊娠・日焼けで症状悪化するが、これは顔面色素斑一般に共通の現象で、肝斑に特有のものではない

組織像:表皮基底層から上層のメラニン顆粒の増多が特徴的

PIH(炎症後色素沈着)

post-inflammatory hyperpigmentation

本質は一過性炎症性色素沈着で一過性の生体反応である

外傷やレーザーなどの刺激の後に、発生する褐色斑(正常の皮膚の反応で、皮膚が生きている証拠)

シミの治療法を解説します

ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)の治療

レーザー照射(QスイッチルビーレーザーやQスイッチアレキサンドライトレーザーなど)

ターゲットとなるメラニンを選択的に破壊し、正常組織にはできるだけダメージを与えない

本治療はSKやそばかすにも有用である

肝斑に対しては色素増強をきたすため禁忌である(頬骨部などの危険地帯は後回しにするのが賢明)

トラネキサム酸内服

ADMを完治させる力はないにせよ、以下の理由によりまず試みても十分に価値がある治療法である

①肝斑の合併率は非常に高いことや、肝斑が存在する部位はレーザー照射により高率に悪化するため、事前に肝斑の要素を軽減しておくことの意義は非常に大きいと考える

②また、ADMなどの肝斑による修飾が軽減され、レーザーの効果が最大限期待できる

SK(老人性色素斑、脂漏性角化症)の治療

レーザー照射(QスイッチルビーレーザーやQスイッチアレキサンドライトレーザーなど)

治療対象は、SKのうち隆起がないものすべてである

炭酸ガスレーザー治療やエルビウムヤグレーザー(ER:YAG)治療

SKのうち隆起のたるものが主な治療対象となる

Erは波長2,940nmで、水に対する吸収率が非常に高い

炭酸ガスレーザーと同様に、水分を持つ生体組織に照射した場合に、表面ですべて吸収されて高熱を発して組織を蒸散する

トレチノイン・ハイドロキノン治療

表在性のしみには効果が期待できる

トレチノインとハイドロキノンを使った治療方法のひとつにゼオスキンヘルスがある

興味のある方は以下の記事を参考にしてみてください

そばかす(雀卵斑)の治療

そばかすは、SKと同じく表皮のメラニン増多であるため、SKに効果のある治療法は、すべてそばかすにも効果があると考えられる

しかし、発生原因を考えると病変の完全除去にこだわる必要はない

そばかすは体質性の色素失調症であるから、病変を完全除去しても根治するわけではなく、

必ず時間とともに再発する

また濃くなってきたら治療するスタンスも選択肢として考えられる

つまり、QOLの向上を目的とすると、ダウンタイムのない、フラッシュライト療法などが適していると考えられる

フラッシュライト療法

レーザーとは異なり、広範囲の波長の光を出力する 

メラニンだけではなくヘモグロビンや線維芽細胞にも吸入・刺激となるため、多面的な効果が期待できる(re-juvenation効果)

そばかすだけではなく、散在しているSKにも効果的

レーザー照射(QスイッチルビーレーザーやQスイッチアレキサンドライトレーザーなど)

フラッシュライト療法が「全体を少しずつ薄くしていく」治療なのに対して、Qスイッチレーザーは「完全に真っ白にしてしまう」治療である 

1回の治療で得られる効果はQスイッチレーザーの方が比べ物にならないくらい大きい

Qスイッチレーザーでは照射後の軟膏処置の手間を考えると複数回に分けて治療を行うことになる

「多少手間がかかってもきっちり治したい」方にはQスイッチレーザーを

「手間をかけずに少しでも薄くしたい」方にはフラッシュライト療法がオススメ

ケミカルピーリング

表皮性病変のため一定の効果は期待できる

トレチノイン・ハイドロキノン治療

そばかすの患者は一般的に乾燥気味の敏感肌の方が多いので、刺激症状が強くでるトレチノイン・ハイドロキノン療法は難しいかもしれない

→mildな方法もあるため継続して続けることが可能であるし、効果も期待できる

興味のある方は以下の記事を参考にしてみてください

肝斑の治療

肝斑治療のポイントは、慢性的過刺激の状態を是正すること

治療の重要なポイントは顔をこすらないようにさせる、患者の生活習慣や意識を変えてもらう患者教育である

これでメラニン過剰状態は自然にかなりの回復を期待できる

なぜなら、表皮のターンオーバーは約1ヶ月であり、

表皮のメラニンは表面から脱落するし、

仮に真皮に病変があってもある程度はメラノファージやリンパ系を介して排泄されていくだろう

最も気をつけなければならない点は、治療によって皮膚の炎症や刺激が強まると、肝斑が増悪することである

肝斑にレーザー治療を行ってせっかくメラニンを除去しても、高度の炎症性色素沈着をきたして結果的に増悪するのはこのためである

トラネキサム酸内服

肝斑に対して有効である

1日500mg~1,500mg 副作用はほとんどない 耐性もない

市販で購入できるものにトランシーノ®がある(消費者が医師の処方なしに自由に薬局で買える薬(OTC薬))

擦らないこと

肌になにかをする施術は控える(マッサージ・パック・エステ・ピーリング・超音波・レーザーなど)

肌によけいな刺激を与えるのをやめさせること

肝斑が改善してくると、これまであまり目立たなかった散在性のSKやADMが目立つようになってくるので、この時点でこれらの治療を計画すればよい

肝斑を悪化させないだけではなく、表皮のバリアが改善しているためこれからの施術による肌のトラブルも回避・軽減が期待できる

PIH(炎症後色素沈着)の治療

炎症の原因をできるだけ取り除いてそっとしておくことが重要

PIH原則的に何も行わなくても自然治癒する

擦らない 刺激しない 日焼けしない 塗り込まない

症状改善には、顔で半年、体幹・上肢で1~2年、下肢では3~4年以上かかる

自分でできるシミ予防や対策

紫外線は、皮膚に対する強力な老化促進因子である

日焼けは、SK・肝斑・そばかす・PIHなどすべての表皮性色素沈着症の増悪因子です

また、長期的な光老化によるシミやシワ、乾燥や敏感などの肌トラブルに繋がります

つまり、シミの症状増悪を避けるためにも、長期的な光老化を予防するためにも紫外線防御は重要です

化粧は完全に落とさなくても良い(と考えています)

化粧を「完全に落としきる」という習慣、つまり「擦る」という動作が肝斑の増悪因子と考えられています

ですので、完全に落とすことには拘らなくてもよいと考えます

そもそも少しでも残っても大変なことになるのであれば、そんな恐ろしいものを朝から晩まで塗っていることはなぜ問題とならないのでしょうか

接触性皮膚炎の原因となっているのであればそもそも塗らない方がよいと思います

酸化して有害物質となるのであれば、その化粧品はそもそもはじめから塗らない方がよいと思います

よって、「完全」に化粧を落とすことに集中して「擦る」くらいなら多少は残っても問題ないと考えます

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