子どものあざは何科で相談したらいいの?
あざは自然に消えるの?治療した方がいいの?
治療方法にはどんなものがあるの?
本記事では子どもや赤ちゃんのよくあるあざに関してまとめています。
【本記事はこういう人にオススメです】
○ 子どものあざが心配だけど何科を受診したら良いかわからない方
○ 子どものあざは消えるのかどうか心配な方
○ どういった治療方法があるか知りたい方
形成外科医専門医として普段から小児のあざ治療を行なっている私が解説していきます。私がどんな人か気になる方はこちらのプロフィール記事を参考にしてみてください。
それでは宜しくお願い致します。
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子どものあざの相談は形成外科でOK
なぜ形成外科なのか。
それは形成外科では手術もできますし、傷あとをきれいにすることにも力を入れているからです。
子どものアザには自然消退が期待できるものや、レーザー治療が必要なもの、内服治療が必要なもの、手術が必要なものと様々あります。
いずれも傷あとが残るリスクを秘めています。
その一方でアザの多くは整容面(見た目)の問題であり、目立つ傷あとが残ってしまっては元も子もありません。
その点、形成外科は傷あとをキレイにすることにも力を入れているため、レーザー治療にせよ手術にせよ、まずは形成外科での相談をお勧めします。
治療介入する場合は早期の方がよいことが多いため早めに受診した方がよいでしょう。
おそらく最初は小児科での相談になると思いますが、多くは形成外科受診を勧められることになると思います。
自然に消えるあざと消えないあざ
赤あざ
乳児血管腫(いちご状血管腫)
急速に隆起・増殖した後(1歳前後)に自然退縮傾向(多くは10歳頃までに消退)を示します。
そのため以前は治療しないで経過を観察することが一般的でした(wait and see)。
しかし、皮下で増殖するような腫瘤型はたるみやぷよぷよとした膨らみを将来残す可能性があるため治療の介入が必要となり得ます。
また、傷になるものや機能障害(視野を遮る、気道を閉塞する)を起こしうる、形態変化(口や鼻)が懸念されるようなものは早期の治療介入が必要になります。
治療方法には主に、レーザー治療、内服治療(プロプラノロール)、レーザー治療と内服治療の併用が挙げられます。
瘢痕や皮膚のたるみなどの後遺症が残った場合は手術(外科的切除)が必要になります。
正中部母斑(サーモンパッチ、ウンナ母斑)
これらは毛細血管の機能異常などが原因の奇形です。乳児血管腫のように増殖することはありません。
サーモンパッチは眉間〜前額部にできるもので自然消退が期待できるが、後頚部や後頭部正中にできるウンナ母斑は残存する可能性が高いです。
サーモンパッチは2~3歳くらいまでは自然消退を待ち、消退しなければ残存した部分をレーザー治療すればよいでしょう。
ウンナ母斑は病変が残存する可能性が高いですが、被髪部であるため早期からの積極的なレーザー治療の必要性は乏しいかもしれません。
単純性血管腫(ポートワイン母斑)
乳児血管腫(いちご状血管腫)と比べて、生下時より存在し皮膚より隆起しない境界明瞭な紅斑です。
こちらは自然消退することはなく、放置すると暗赤色に変化し肥厚や隆起を生じることもあります。
レーザー治療が適応になります。
青あざ
蒙古斑
背中、特に腰部・臀部(尾仙骨部)を中心に出現する青色斑で、自然消退が期待できます。
生後2歳頃までは青色は濃くなりますが、その後は退色に向かい、おおよそ10歳前後には消失すると言われています。
基本的に薄い病変であれば自然消退が期待できるため、10歳前後まで経過を観察してもよいと考えます。
しかし、四肢などの露出部や色調が他と比べて濃い部分は自然消退せずに持続する可能性があるため、皮膚の薄い乳幼児期に治療すれば治療回数も少なく治療効果も高いためレーザー治療が有利な場合もあります。
治療方法はレーザー治療です。
異所性蒙古斑
四肢や体幹の前面に生じたものは異所性蒙古斑とよばれ、自然消退しないといわれていますが、成長とともにある程度色調は薄くなり得ます。
レーザーによる色素沈着や色素脱失などの合併症もあるため、乳幼児期におけるレーザーの適応は慎重に判断する必要があります。
色調が濃いものや境界明瞭なもの、露出部にあるものなど早期の整容的改善が望ましいものでは、皮膚が薄く体表面積の少ない乳幼児期でのレーザー治療は有効と考えます。
太田母斑
生後間もなく顔に発症する灰青色の皮疹で、自然に消退することはありません。
眼球や口蓋にも同様の皮疹を認めることもあります。
思春期に色調の増悪や拡大が見られることが多いです。
治療方法はレーザー治療になります。
茶あざ
扁平母斑(カフェオレ斑)
出生時あるいは生後まもなく生じる境界明瞭なコーヒー牛乳色の色素斑です。
自然には消退しません。
治療はレーザーになりますが、レーザー治療が有効な症例は3割程度です。
まずは、テスト照射(試験照射)で一部にレーザーを当てることをお勧めします。
レーザー治療によって一旦薄くなったように見えても再発する症例やかえって色素が増強する症例もあるため注意が必要です。
黒あざ
母斑細胞性母斑(いわゆるほくろ)
自然には消退しません。
色素斑ではなく腫瘍に分類されるため、基本的には母斑細胞を切除する手術が治療の第一選択になります。
しかし、小型かつ平坦であればレーザー治療も選択肢のひとつになりますが、治療回数が必要なことや再発のリスクがあがります。
巨大なものや隆起しているものは手術での切除がよいでしょう。
手術が困難な症例ではロングパルスレーザーやQスイッチレーザーなど波長の短いものを併用してレーザー治療を選択してもよいかもしれません。
この場合はレーザーによる副作用として多少の色素脱失や瘢痕などは覚悟する必要がありますが、なにもしないよりは整容的には改善します。
それぞれの治療方法を解説します
レーザー治療
※レーザー治療は、単なる美容を目的とした場合は保険適用になりません
※各治療はレーザーの合併症を避けるためや効果を最大限に期待するために治療期間を3ヶ月以上空ける必要があります
色素レーザー
血管内の赤血球酸化ヘモグロビンに選択的に吸収されることで、拡張血管を選択的に傷害し消失させます。
単純性血管腫、乳児血管腫、赤ら顔の原因である毛細血管拡張症に対して保険が適用されます。
Qスイッチ付きレーザー(ルビー、アレキサンドライト、Nd:YAG)
ターゲットであるメラニンに選択的に吸収され、照射時間が短くピークパワーが高いため、メラニンを破壊することが可能です。
保険適応疾患には、太田母斑、異常性蒙古斑、外傷性色素沈着、扁平母斑があります。
しかし、疾患ごとに治療回数の限度が定められています。
炭酸ガスレーザー
水分を含むものに吸収され、その熱エネルギーで組織を蒸散させます。
基本的には自費診療となります。
内服治療(プロプラノロール)
保険が適用されます。
緊急性のある場合や大きな病変で瘢痕が目立ったり潰瘍化が懸念される場合などに使用します。
副作用に低血糖や低血圧、喘息様症状などがあるため、小児科医と連携して内服治療導入時は入院が必要となります。
手術(外科的治療)
瘢痕や皮膚のたるみなどの後遺症が残った場合は手術(外科的切除)が必要になります。
いずれの疾患も皮膚腫瘍などの病名がつけば保険が適用されます。
ただし、単なる美容を目的とした場合は保険適応となりませんので、主治医と相談してみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
それぞれの疾患には様々な治療法や方針があるため一概には正解はありません。
整容面に関する問題は家族の心配も絶えません。
最適な治療方針を決定するためにも一度かかりつけの小児科や形成外科で相談してみてください。
最後まで読んでいただき誠に有難うございました。
その他質問や相談などがあればお気軽にブログの問い合わせやtwitterまで連絡いただければお答えさせていただきます
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